子どもの将来をお金で支えるには?夫婦で今すぐ考えたい4つの資産形成の鉄則

はじめに

「子どもにはお金のことで困ってほしくない」 「大学費用や習い事、将来の選択肢を増やしてあげたい」

そんな思いから、子どものために資産形成を始めたいご家庭は増えています。でも実際は――

「何から始めればいいかわからない」 「夫婦で意見が合わない」 「学資保険で本当に足りるの?」

こんな声が多いのも現実です。今回は、建築士として、そして二人の子どもを育てながら資産形成を実践している立場から、**”夫婦で失敗しないために押さえるべき4つのポイント”**をお伝えします。

ポイント①:夫婦で「ゴール」を共有する

子どものための資産形成でまず大切なのは、夫婦でゴールを明確にすることです。

  • 教育費はいくら必要?
    • 公立小・中・高・大学の場合:約1,000万円
    • 私立小・中・高・大学の場合:約2,000〜3,000万円
    • 海外留学も含める場合:さらに500〜1,000万円追加
  • 子どもに”何をしてあげたいか”を具体的に話し合う
    • 例:「大学までの学費だけは支援」
    • 例:「留学も視野に入れたい」
    • 例:「進学だけでなく起業や習い事など多様な選択肢を支援したい」

ゴールがズレていると、「必要な金額・手段・期間」がすべてブレてしまいます。まずは**”目的ありき”の資産形成**を心がけましょう!

最新の文部科学省の調査によると、子ども一人あたりの教育費総額は、幼稚園から大学までで平均1,500万円。さらに塾や習い事を含めると2,000万円に近づくというデータもあります。夫婦でこの現実を共有することから始めましょう。

ポイント②:手段を選ぶときは”利回り×柔軟性”をチェック

教育資金を準備するための手段はさまざまですが、それぞれにメリット・デメリットがあります。

よくある手段の比較

運用方法メリットデメリット想定利回り
学資保険元本保証、強制貯蓄効果インフレに弱い、柔軟性が低い0.5〜2.0%
銀行貯金安全性が高い、いつでも引き出せるほとんど増えない0.001〜0.1%
投資信託・NISA長期的に大きく育つ可能性短期的な変動リスクあり3〜7%(長期平均)

教育資金など**”使う時期が決まっているお金”**には、「時間と運用のバランス」がカギとなります。子どもの年齢や教育資金が必要になるタイミングを考慮して、適切な組み合わせを選びましょう。

投資リスクの分散と調整

投資信託やNISAを活用する際は、「長期・積立・分散」の3原則を守ることが重要です。

  • 子どもの年齢に応じたリスク調整
    • 0〜9歳:リスク許容度が高い時期(成長重視の資産配分)
    • 10〜15歳:徐々にリスクを下げていく時期(バランス型へ)
    • 16歳〜:安全性重視に切り替える時期(元本確保型へ)
  • 具体的な分散方法
    • 地域分散:日本・米国・新興国など複数の国や地域に投資
    • 資産分散:株式・債券・REITなど異なる資産クラスに分散
    • 時間分散:一度に大きく投資せず、定期的に少額ずつ投資

おすすめの分散例

  • 安全資金(50〜70%):学資保険・定期預金など
  • 成長資金(30〜50%):こどもNISAや親名義のつみたて投資

「将来に備えながら増やす」仕組みが最適です!特に子どもが小さいほど、長期投資の恩恵を受けられるチャンスが大きいことを忘れないでください。

※注意:2024年からは新しい「こどもNISA」が始まり、従来のジュニアNISAとは仕組みが変わります。制度改正時には最新情報を確認し、必要に応じて運用計画を見直すことも大切です。

ポイント③:家計と投資を”夫婦で見える化”する

資産形成の最大の障壁は「夫婦間のコミュニケーション不足」です。

  • 「夫が管理」「妻が管理」→ NGパターン 片方だけが見えない状態は不安とトラブルの元になります。
  • 見える化のためのアプローチ
    • 家計簿アプリで家計状況を共有(マネーフォワードMEなど)
    • 投資内容も月に一度は確認・共有する時間を持つ
    • 資産状況を視覚化したシンプルな表を作成する
  • 定期的な見直しを忘れずに
    • 子どもの年齢:小学校入学前、中学入学前、高校入学前
    • 家庭の状況:収入の変化、住宅ローンの完済時など
    • 経済環境:大きな市場変動時や税制改正時

夫婦で一緒に考え、育てる”お金の土台”こそが本当の資産形成です。これは子どもの教育資金だけでなく、家族全体の安定した将来のためにも重要です。

ポイント④:教育資金と老後資金のバランスを取る

子どもの教育資金を優先するあまり、自分たちの老後資金が不足してしまうというのは避けるべき重大なリスクです。

  • 両方のバランスが大切な理由
    • 子どもの教育のために老後資金を犠牲にすると、将来子どもに経済的負担をかける可能性がある
    • 老後30年間の生活費は夫婦で3,000〜4,000万円が目安とされている
    • 公的年金だけでは月5〜10万円程度の不足が生じる可能性も
  • バランスの取れた資産形成アプローチ
    • 収入の15〜20%を貯蓄・投資に回す場合の配分例:
      • 教育資金:5〜7%
      • 老後資金:7〜10%
      • その他目的(住宅・緊急資金など):3〜5%
  • iDeCo(個人型確定拠出年金)とNISAの併用
    • iDeCoは老後資金として税制優遇が大きい(掛金全額所得控除、運用益非課税)
    • NISAは教育資金や老後資金など柔軟に活用できる
    • 両方を活用することで、目的別の資産形成を効率的に進められる

子どもの教育資金と親の老後資金は「どちらか」ではなく「どちらも」大切にする発想が重要です。家族全体の長期的な幸せのために、バランスのとれた計画を立てましょう。

実体験:我が家が考える”子どものためのお金計画”

私たち夫婦は、第一子が生まれたときに「教育資金をどうするか」という会話から、家計と投資の見直しを始めました。そこで重要だったのは、教育資金だけでなく「家族全体のライフプラン」を考えることでした。

  • 現在の取り組み
    • 学資保険:子ども一人あたり月1万円(大学入学時に約300万円)
    • こどもNISA:年間40万円を低コストのインデックス投資信託で運用
    • 親名義の積立投資:教育費の「上乗せ分」として月2万円を投資信託で運用
    • iDeCo(個人型確定拠出年金):夫婦それぞれが月2万円を老後資金として積立
    • 家族全体のキャッシュフロー表を作成:教育費・住宅ローン・老後資金を可視化
  • 総合的なライフプラン作成のポイント
    • 教育費だけでなく、住宅購入や車の買い替えなども含めた全体計画を立てる
    • 収入と支出の長期シミュレーションで「お金の入り」と「出」を把握する
    • 老後の生活も含めた60年計画で家族の安心を確保する
  • 見えてきたこと
    • 子どもの教育資金は「貯める」だけでなく「増やす」視点が重要
    • 教育費は想像以上にかかる(特に習い事や塾など)
    • 親の老後準備がしっかりしていることも、子どもの将来的な安心につながる
    • 子どもが将来「選べる人生」を送るには、親自身の資産形成力と金融リテラシーが大切

特に感じるのは、子どものためのお金は「早く始めるほど有利」ということ。0歳から始める投資と10歳から始める投資では、同じ金額でも最終的な結果に大きな差が出ます。また、教育資金と老後資金を同時に準備することで、将来子どもに経済的負担をかけないという安心も得られました。

よくある質問

Q1. 投資は怖いし不安です…

A: 「全部を投資にする必要はありません」。子どもが小さいうちは時間的余裕があるので、まずは教育資金全体の20%程度からスタートしてみてはいかがでしょうか?長期的な視点で、少額からコツコツと積み立てることが大切です。

Q2. 学資保険だけじゃダメ?

A: 安全性は高いですが、インフレや教育費の高騰には弱いという側面があります。過去20年で大学の学費は約20%上昇していますが、学資保険の利回りでは対応しきれない可能性があります。安全性を重視しつつも、一部は成長が期待できる投資に回すバランス型の運用がおすすめです。

Q3. 子ども名義の口座にした方がいい?

A: メリット・デメリットがあります。子ども名義だと贈与税の配慮が必要ですが、親名義だと親の資産とみなされます。使い勝手や課税面を考えると、低年齢のうちは親名義で運用し、大きくなったら一部をこどもNISAなどの子ども名義に移行するという方法も検討できます。

Q4. いつから始めるべき?

A: 「早ければ早いほど良い」というのが正直な答えです。複利効果を最大化するには、子どもが生まれたらすぐに始めるのが理想的です。月5,000円を年利5%で運用した場合、0歳から始めると18歳で約180万円、5歳から始めると約120万円という違いが生まれます。

まとめ

  • 子どものための資産形成は「夫婦での共通認識」から始まります
  • 安全性と成長性のバランスを取った”分散型”の運用を心がけましょう
  • 家計・投資の情報を夫婦で共有して、”チーム資産形成”を実践しましょう!
  • 教育資金と老後資金のバランスを考え、家族全体の長期的な幸せを実現しましょう
  • 子どもの年齢や家庭環境の変化に合わせて、定期的に計画を見直しましょう

お金の不安がない未来は、親が”今から”つくっていくものです。子どもの将来の選択肢を広げると同時に、家族全体の安心も確保するために、今日から一歩を踏み出してみませんか?

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※この記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の投資アドバイスではありません。投資にはリスクが伴いますので、必要に応じてファイナンシャルプランナーなどの専門家にご相談ください。また、制度や税制は変更される可能性がありますので、最新情報を確認することをお勧めします。

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