マイホームの成功は「土地選び」で8割決まる—— これは建築士として数多くの家づくりに関わってきた中で実感していることです。
家は建て直せても、土地は買い直せない。そして、土地は「住みやすさ」だけでなく、将来的な資産価値にも大きく関わります。
今回は、これからマイホームを検討する方のために、「失敗しない土地選びの7つのポイント」を解説します!

1. 土地選びは「立地」だけではない
もちろん、立地は重要です。駅からの距離、周辺施設、通勤時間、子育て環境など、多くの要素が関係します。ただし、それだけでは不十分です。建築士の視点から見ると、立地の”表面”だけで判断すると後悔するケースもあります。
- 駅近でも「日当たりが悪い」「騒音がひどい」土地もある
- 周辺のハザードマップや地盤データを確認する
- 将来的に「売れる土地」になるかも見極める
資産形成の視点でも、「将来手放すときに値崩れしにくい土地」を選ぶことが非常に重要です。
2. ハザードマップ&地盤調査は必須!
土地購入前には、自治体が公開しているハザードマップを必ず確認しましょう。特に以下のリスクに注目してください:
- 洪水・浸水リスク
- 土砂災害区域
- 液状化の可能性
また、”地盤の強さ”も重要なポイントです。地盤が弱い場合、地盤改良費用が数十万円~100万円以上かかることがあります。
チェックポイント:
- 地盤調査済みか?
- 隣地との高低差や擁壁(土地の崩壊を防ぐ壁)の有無
- 水はけ状況(雨の日に現地を訪れると◎)
3. 方角と日当たりは間取りの自由度に直結
土地の方角によって、間取りの自由度が大きく変わります。例えば南道路の土地は人気があり価格も高めですが、日当たりが確保しやすく間取りの自由度も高くなります。一方で北道路の場合、設計上工夫が必要です。
- 南道路:バルコニーやLDKを南面に配置しやすい
- 東道路:午前中の日当たりが良い
- 西道路:午後の日当たりが良いが、夏は西日対策が必要
- 北道路:プライバシー性は高いものの採光に工夫が必要
「価格の安さだけ」で北道路を選ぶと、理想的な間取りが実現できない可能性があります。
4. 土地の形状と接道条件を確認する
理想的な形状は「整形地(正方形・長方形)」ですが、三角形や旗竿地(細長い通路部分を経て奥まった場所にある土地)なども検討対象となります。
- 整形地:設計自由度が高く資産価値も落ちにくい
- 変形地:価格は安いものの建築制限が出る場合あり
また、道路との接道条件(幅員・方角・接道長)も必ず確認しましょう。
- 接道が2m未満だと建築不可の場合あり
- 道路幅が狭いと将来売却しづらい
- ゴミ収集や車両出入りへの影響も考慮

5. インフラ整備状況を見落とすな!
土地価格が安くても、上下水道・ガス・電気などインフラ整備が不十分だと追加工事費用が発生します。
チェックポイント:
- 上下水道が整備されているか?
- 電柱・電線位置(景観や駐車スペースへの影響)
- ガス種別(都市ガスかプロパンガスか)
インフラ整備費用次第では、「建築予算」が削られる可能性があります。実際に追加工事が必要な場合、50万円~数百万円のコストがかかることも珍しくありません。
6. 周辺環境と将来変化にも注目
現在の周辺環境だけでなく将来性も考慮しましょう。
- 近隣施設(スーパー・病院・公園など)の有無
- 昼夜で雰囲気が変わらないか(夜間の安全性)
- 再開発エリアや計画道路情報
特に再開発エリアや人気学区内の土地は、将来的な値上がり可能性があります。逆に、周辺に大規模マンション計画がある場合は、環境の変化や日当たりへの影響も考慮すべきです。
7. 土地+建物の「総額」で考える!
よくある失敗例として、「土地に予算をかけすぎて建物予算が足りなくなる」ケースがあります。
理想的な予算配分:
- 土地:建物=5:5または4:6
- 土地価格が高すぎる場合、希望する家を建てられない可能性あり
- 「土地+建物+諸費用」の総額でシミュレーションすることが重要
例えば、総予算4,000万円の場合、土地に2,000万円、建物に1,800万円、諸費用に200万円といった配分を事前に計画しておくことをおすすめします。
まとめ|土地は「今の暮らし」+「未来の資産」
土地選びでは以下をトータルで判断してください:
- 立地だけでなく日当たり・地盤・形状・接道・インフラ・将来性まで考慮する
- 建築士視点では設計自由度も重要なポイント
- 資産形成視点では売却時価値や資産価値維持力を重視する
- 「価格」だけで選ぶと住みにくさや売却困難につながるリスクあり
🏡 家は”建てて終わり”ではなく、”資産として育てる”ものです。失敗しない土地選びこそ未来への安心につながります!
※この記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の土地選びについては専門家への相談をおすすめします。
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