はじめに
「節税になるって聞いたから、とりあえずiDeCo始めてみようかな…」
そんな風に考えている人、実は多いのではないでしょうか?
たしかにiDeCoは「最強の節税制度」と言われることもありますが、始める前に知っておくべき注意点やデメリットも存在します。
この記事では、建築士としてライフプラン設計や資産形成に関わる立場から、「節税目的でiDeCoを始めるのは本当にアリなのか?」を中立的に解説します。

iDeCoとは?超ざっくり解説
- 会社員・自営業・主婦などが、自分で老後資金を積み立てる制度
- 毎月一定額を自分で運用し、60歳以降に受け取る年金スタイル
- 税制優遇が大きく、3つのタイミングでメリットあり!
iDeCoのメリット
1. 掛金が「全額所得控除」=毎年の節税になる
- 年収400万円の人が年間27.6万円を拠出すると、約5〜6万円の節税効果
- 毎年、税金を”払い過ぎずに済む”のは大きな利点!
2. 運用益も非課税でふくらむ
- 通常は20.315%かかる運用益の税金が、iDeCoなら0円
- 長期で積み立てれば、複利効果で手取りも大きく変わる
3. 受取時にも控除あり(退職所得控除 or 公的年金控除)
- 一時金としてまとめて受け取るか、年金形式かも選べる
- 上手く受け取れば非課税or超低税率で済むケースも多い
iDeCoのデメリット・注意点
1. 原則60歳まで引き出せない
- 途中で生活費に使いたくなっても、原則不可
- 生活防衛資金はiDeCo以外で確保すべき!
- ただし、以下の条件では中途脱退が認められます:
- 海外移住時(国民年金の被保険者でなくなってから5年経過)
- 障害給付金の受給要件を満たしたとき
- 死亡時(遺族が受け取り可能)
- 掛金拠出額が少なく、資産額が25万円以下の場合(脱退一時金として受取可)
2. 拠出額に上限がある(職業によって異なる)
- 会社員:月額1.2万円〜2.3万円程度(※企業年金の有無で変動)
- 自営業:月額最大6.8万円
- NISAのように自由に投資額を増やせる制度ではない
3. 手数料がかかる(口座管理料など)
- 主な手数料の内訳:
- 国民年金基金連合会への事務手数料(毎月105円)
- 運営管理機関手数料(毎月100円〜300円程度、金融機関により異なる)
- 信託銀行への手数料(年間数百円)
- 年間合計で3,000円〜5,000円程度、長期になると積み上がる固定費に
- 低コストな運営機関(SBI・楽天など)を選ぶのが基本
建築士×資産形成の視点:iDeCoは「守りの制度」
- 投資には「増やす」と「守る」の両面がある
- iDeCoは特に、「節税で可処分所得を増やしつつ、老後資金を確保する守りの仕組み」
- “トータルで税金と向き合う”感覚が資産形成では大切
住宅購入との連携戦略
建築士の視点から特に注目したいのが、iDeCoと住宅購入の関係です:
- 住宅購入前の活用法:頭金準備期間はiDeCoより流動性の高い投資を優先
- 住宅購入後のバランス:
- 住宅ローン控除(最大40万円/年)× iDeCo控除 × 生命保険料控除を組み合わせ
- ローン返済と資産形成の両立が理想的(全額繰り上げ返済より分散投資も検討)
- ライフステージに合わせた調整:
- 子育て期:教育費準備のための流動性確保
- 子育て後期:iDeCo拠出額の増額検討
- 50代:住宅ローン完済とiDeCo満額活用のバランス設計

Q&A:よくある疑問
Q. 節税目的だけでiDeCoをやるのは損?
A. 節税メリットは非常に大きいですが、「途中で引き出せない」のがネックになる人も。 → “使うお金”と”貯めるお金”の線引きをしてから判断すればOK!
Q. 住宅ローン控除と併用していいの?
A. もちろんOK。ただし、所得控除が多すぎると節税効果が薄くなるケースもあるので注意。
【具体例】
- 年収500万円(所得税率10%)の方が、住宅ローン控除40万円を受けている場合
- iDeCoで月2万円(年24万円)の所得控除を追加すると…
- 課税所得が控除で大きく下がり、所得税率が5%に下がるケースも
- 結果、税率低下で節税効果が予想より小さくなる場合があります
年収と控除額のバランスをチェックして、所得税率の境界付近では控除額の調整を検討しましょう!
Q. どんな運用商品を選べばいい?
A. 長期運用が前提なので、分散投資型のインデックスファンドがおすすめ。 手数料の低い商品を選ぶと長期的なリターンが大きく変わります!
Q. 元本割れのリスクはある?
A. 運用商品は大きく分けて2種類あります:
- 元本確保型(定期預金、保険商品など):元本割れしない代わりに、リターンは低め
- 投資信託(株式・債券ファンドなど):値動きがあり元本割れリスクはあるが、長期ならリターンが期待できる
初心者は「全世界株式インデックス」などの分散されたファンドから始めると、特定の国や業種の変動リスクを抑えられます!
実体験:iDeCoをやってよかったこと・失敗したこと
20代後半でiDeCoを開始した筆者の知り合い。
節税効果は年間約6万円で、資産も順調に育ってきた一方、「30代で住宅購入したとき、もう少し自由に使える現金が欲しかった…」という後悔も。
→ 結論:“生活にゆとりがある人には最強制度”、ただし”全部iDeCo”はNG!
まとめ
- iDeCoは「節税」と「老後資産形成」を両立できる優秀な制度
- ただし、60歳まで引き出せない点は”超長期資金”としての覚悟が必要
- 建築士×資産形成の視点では、“人生設計全体の中にどう組み込むか”が重要
節税だけで飛びつかず、「使えるお金・育てるお金・守るお金」のバランスからiDeCoを選びましょう!
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