共働き夫婦のマイホーム購入ガイド:家計・教育・老後まで考える資金計画

家づくり

登場人物紹介

  • RF(運営者):建築士×資産形成ナビゲーター。家とお金の両面からサポート!
  • けんた(32歳・建築設計士):筋トレとサウナが趣味。設計は得意だが、資産形成・住宅ローンは初心者。独立志望。
  • さやか(27歳・ファイナンシャルプランナー):カフェ巡りと資産運用が趣味。暮らしとお金を大切にする堅実女子。既婚者。

【結論】

共働き夫婦の住宅購入は、資産形成・教育・老後すべてのライフプランに関わる大きな決断です。両者の収入を最適に活用した住宅ローンの組み方と、将来の教育費・老後資金も視野に入れた長期的な家計管理が成功の鍵となります。この記事では、けんた&さやかと一緒に、共働き夫婦のための実践的な住宅資金計画を学んでいきましょう!


Q1. ローンって夫婦でどうやって組めばいいの?

けんた「俺たちみたいな共働き夫婦って、住宅ローンってどうやって組むのが正解なんだろ?妻の収入も合わせた方がいいのかな?」

さやか「私はペアローンが節税になるって聞いたことあるよ。でも手続きが面倒そうだし、どれくらいお得なのか実際のところわからなくて…」

RF「いい質問ですね。共働き夫婦のローンの組み方には主に3パターンあります。それぞれの特徴と具体的なメリット・デメリットを見ていきましょう。」

1. 収入合算(連帯債務・連帯保証型)

  • 仕組み:一人が主債務者となり、もう一人は連帯保証人または連帯債務者になる
  • 特徴
    • 両者の収入を合算して借入可能額を算出
    • 民間銀行ローン、フラット35どちらでも利用可能
    • 住宅ローン控除は主債務者のみ適用(連帯保証人型の場合)
    • 連帯債務型なら両者で控除を分け合える可能性あり(金融機関による)
  • メリット
    • 手続きが1回で済む
    • 借入可能額が大きくなる
    • 金利引き下げ交渉が1回で済む
  • デメリット
    • 住宅ローン控除が一人分のみ(最大年40万円)
    • 主債務者の年収が低いと控除を最大限活用できない

2. ペアローン

  • 仕組み:夫婦それぞれが別々のローンを組む(実質2本のローン)
  • 特徴
    • 物件の持分をそれぞれ設定(例:夫60%・妻40%)
    • 持分に応じたローンを別々に組む
    • 住宅ローン控除は夫婦別々に適用可能
  • メリット
    • 住宅ローン控除が夫婦両方に適用(最大年80万円)
    • 収入に応じた無理のない返済計画が組める
  • デメリット
    • 審査や手続きが2回必要
    • 団体信用生命保険料が2人分かかる
    • 異なる金融機関で組むと管理が煩雑

3. 単独ローン

  • 仕組み:夫婦どちらか一方だけでローンを組む
  • 特徴
    • 年収の高い方が単独でローンを組むのが一般的
    • もう一方の収入は生活費や投資、繰上返済資金に回せる
  • メリット
    • 手続きがシンプル
    • 一方が専業主婦(夫)になっても返済計画に影響が少ない
    • 一方の信用情報に問題があっても組める
  • デメリット
    • 借入可能額が収入合算より少なくなる
    • 住宅ローン控除が一人分のみ(最大年40万円)

具体的な数値シミュレーション

4,000万円の物件を購入する場合のシミュレーション(35年ローン、金利1.0%、頭金800万円の場合)

ケース1:収入合算型(夫主債務者)

  • 借入額:3,200万円
  • 月々返済額:約9.2万円
  • 年間返済額:約110万円
  • 住宅ローン控除(年間):約32万円(夫のみ)
  • 35年総支払額:約3,870万円

ケース2:ペアローン型(夫6:妻4の持分)

  • 借入額:夫1,920万円、妻1,280万円(合計3,200万円)
  • 月々返済額:夫約5.5万円、妻約3.7万円(合計約9.2万円)
  • 年間返済額:約110万円
  • 住宅ローン控除(年間):夫約19.2万円、妻約12.8万円(合計約32万円)
  • 35年総支払額:約3,870万円+追加手数料(約10〜20万円)

ケース3:単独ローン型(夫のみ)

  • 借入額:3,200万円
  • 月々返済額:約9.2万円
  • 年間返済額:約110万円
  • 住宅ローン控除(年間):約32万円(夫のみ)
  • 35年総支払額:約3,870万円

RF「年収と物件価格によって最適な組み方は変わります。特に住宅ローン控除をフルに活用したい場合は、各自の所得税額と照らし合わせて検討する必要があります。」

ローン形態の選び方フローチャート

  1. 所得税額がそれぞれ年間20万円以上 → ペアローンがお得
  2. 片方の所得税額が少ない → 所得税の多い方が主債務者の収入合算型
  3. 将来、片方が収入減の可能性 → 安定している方の単独ローン
  4. 事務手続きをシンプルにしたい → 収入合算型または単独ローン

さやか「私と夫の場合、二人とも所得税を結構納めているから、ペアローンの方が控除を最大限受けられそうね。でも具体的な手続きはどうすればいいの?」

RF「ペアローンの場合、まず物件の持分割合を決め、それぞれの金融機関で審査を受けます。同じ金融機関で組むとスムーズですが、異なる金融機関でも可能です。必要書類は基本的に以下の通りです。」

住宅ローン申込みに必要な書類

  • 共通書類
    • 本人確認書類(運転免許証など)
    • 収入証明書(源泉徴収票、確定申告書等)
    • 健康保険証
    • 印鑑証明書
  • 物件関連
    • 売買契約書
    • 物件の登記簿謄本
    • 土地・建物の図面
  • その他
    • 住民票
    • 納税証明書
    • 団体信用生命保険の告知書

けんた「手続きは大変そうだけど、控除で数百万円変わるなら検討する価値あるな…!」


Q2. 買うタイミングっていつがいい?

さやか「結婚してすぐ買うより、タイミング見た方がいいのかな?私たちは貯金が500万円くらいで、もう少し貯めてからかなって思ってるんだけど…」

けんた「うちは子どもができる前に買いたいって思ってたけど…正解が分からないな。あと、頭金ってどれくらい貯めておくべきなんだろう?」

RF「家を買うタイミングはライフイベントとの兼ね合いが重要です。一般的な考え方と各タイミングのメリット・デメリットを整理してみましょう。」

購入タイミングとメリット・デメリット

ライフステージメリットデメリット準備すべきこと
結婚直後・新生活をゼロから整えられる<br>・二人の好みを反映できる・資金準備が不十分<br>・将来設計が不確定・最低限の頭金<br>・長期返済計画
子ども誕生前・育児環境を前もって整えられる<br>・引越しの負担が少ない・子育てニーズを実感しづらい・将来の教育費も考慮<br>・子育て環境の調査
子ども小学校入学前・教育環境を重視できる<br>・家族のニーズが明確・物件選びの制約大<br>・転勤リスク・学区調査<br>・通学路の安全確認
子ども独立後・自分たちの老後に適した住居<br>・資金的に余裕がある・長期間の住宅ローンは組みにくい・バリアフリー設計<br>・将来の維持費計画

RF「共働き夫婦の場合、お二人のキャリアプランも重要な要素です。転勤の可能性や将来の収入見通しなども考慮して決めるといいでしょう。」

頭金の目安とシミュレーション

  • 理想的な頭金:物件価格の20〜30%
  • 最低限必要な資金:諸費用(物件価格の5〜7%)
    • 例:4,000万円の物件なら最低200〜280万円

頭金額別シミュレーション(4,000万円の物件、35年ローン、金利1.0%の場合)

頭金借入額月々返済額総返済額金利負担総額
0円(フルローン)4,000万円約11.5万円約4,830万円約830万円
400万円(10%)3,600万円約10.3万円約4,346万円約746万円
800万円(20%)3,200万円約9.2万円約3,864万円約664万円
1,200万円(30%)2,800万円約8.0万円約3,380万円約580万円

RF「頭金を増やすことで、毎月の返済負担が減るだけでなく、総支払額も大きく変わってきます。頭金を20%用意すれば、フルローンに比べて約1,000万円近くの違いが出ることもあります。」

住宅購入の適正価格の目安

  • 年収倍率:世帯年収の5〜6倍が上限目安
    • 例:世帯年収930万円(けんた夫婦)なら、4,650万円〜5,580万円
    • 例:世帯年収1,000万円(さやか夫婦)なら、5,000万円〜6,000万円
  • 返済負担率:手取り収入の25%以下が安全圏
    • 例:手取り月収70万円なら、月々の返済額17.5万円以下
    • 支出内訳:住宅ローン25%、生活費50%、教育費15%、貯蓄・投資10%

けんた「年収から考えると、うちは4,500万円くらいが限度なんだね。頭金はなるべく多く準備した方がいいってことか。」

さやか「返済負担率の考え方はわかりやすいね。ライフイベントと合わせて考えると、私たちは今より少し待った方がいいかもしれないわ。」


Q3. 教育費や老後資金も同時に考えるべき?

けんた「正直、子どもの教育費っていくらかかるか見当つかないし、老後のこととかまだ先すぎて…」

さやか「でも住宅ローンって30年以上の計画だから、教育費の負担が重なる時期もあるよね。老後資金も含めたら、家だけにお金かけるのは危険かもしれないわ。」

RF「その通り!住宅購入を検討する際は、住宅ローンだけでなく、教育費や老後資金も含めたライフプラン全体で考えることが非常に重要です。特に共働き世帯は、『二人の収入がずっと続く』と考えがちですが、育児や介護などでキャリアに変化が生じることもあります。」

教育費の実態とタイムライン

教育費の平均(子ども1人あたり)

教育段階公立私立
幼稚園(3年間)約80万円約150万円
小学校(6年間)約190万円約950万円
中学校(3年間)約150万円約400万円
高校(3年間)約180万円約350万円
大学(4年間)約520万円約850万円〜1,200万円
合計約1,120万円約2,850万円

※出典:文部科学省「子供の学習費調査」、日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査報告」

住宅ローンと教育費の重なり方【タイムラインシミュレーション】

35歳で家を購入し、5歳の子どもがいる場合の例:

年齢家族の状況住宅ローン残高教育費負担(年間)
35歳子ども5歳(幼稚園)3,200万円約30万円
38歳子ども8歳(小3)2,950万円約35万円
43歳子ども13歳(中1)2,500万円約60万円
46歳子ども16歳(高1)2,200万円約65万円
49歳子ども19歳(大2)1,900万円約130万円
53歳子ども卒業1,500万円0円
65歳定年退職0円0円

RF「特に子どもの大学入学時は初期費用も高額になるため、教育資金の準備は計画的に行う必要があります。教育費は家計の15%程度を目安に積み立てておくと安心です。」

教育費準備のためのおすすめ商品

  1. 学資保険
    • 特徴:満期保険金が非課税、低リスク
    • 利率:0.05〜0.5%程度
    • 向いている人:安全性重視の方
  2. つみたてNISA
    • 特徴:非課税枠年間40万円まで、最長20年
    • 期待リターン:3〜5%程度(長期・分散投資の場合)
    • 向いている人:ある程度のリスクを許容できる方
  3. ジュニアNISA
    • 特徴:子ども名義の非課税投資口座
    • 運用対象:株式・投資信託など
    • 注意点:18歳まで払い出し制限あり

さやか「私たちは子どもができたら、つみたてNISAとちょっとだけ学資保険を組み合わせようって話してたんだ。でも老後資金まで考えるとなると…」

老後資金の目安と準備方法

  • 夫婦の老後資金目安:最低3,000万円〜4,000万円
    • 内訳:生活費(月25万円×20年)+α(旅行・趣味・医療費など)
  • 公的年金の平均受給額:夫婦で月額約20万円
  • 不足額の目安:月5万円×12ヶ月×20年=1,200万円

老後資金準備のためのおすすめ方法

  1. iDeCo(個人型確定拠出年金)
    • 特徴:掛け金全額所得控除、運用益非課税
    • 限度額:企業年金なしの会社員なら月23,000円まで
    • 注意点:60歳まで引き出し不可
  2. つみたてNISA
    • 老後資金としても有効活用可能
    • 資金使途に制限がないため柔軟性が高い
  3. 定年までにローン完済を目指す
    • ローン返済後の返済額相当を投資に回せる
    • 住居費負担がない状態で老後を迎えられる

RF「賢い方法は、『住宅ローン、教育費、老後資金』の3つをバランスよく準備することです。住宅価格を少し抑えめにして、その分を教育費や老後資金に回すという考え方も有効です。」

けんた「住宅ローンが終わってからじゃ老後資金の準備が間に合わないってことだよね。同時並行で進めていかないと…」


Q4. 家計管理って夫婦でどうするのがベスト?

さやか「うちは私が家計を管理してるけど、他の共働き夫婦はどうやって管理してるのかな?特に住宅ローンが加わると複雑になりそう…」

けんた「俺の周りは、妻が全部管理してる家庭が多いよ!でも共働きだと、それぞれの収入もあるし難しいかも。」

RF「家計管理の方法は夫婦のライフスタイルや価値観によって異なります。ただ、共働き世帯では『見える化』と『役割分担』が特に重要です。主な家計管理タイプと具体的な方法を見ていきましょう。」

共働き夫婦の家計管理タイプ

1. 完全折半型(同額負担)

  • 特徴:生活費を同額ずつ負担
  • メリット:公平感がある、計算がシンプル
  • デメリット:収入差がある場合に負担感に差が出る
  • 実践例:共同口座に同額を入金し、そこから住宅ローンや公共料金を支払う

2. 収入割合型(能力に応じた負担)

  • 特徴:収入比に応じて負担割合を決める
  • メリット:収入差がある夫婦に公平
  • デメリット:計算が少し複雑
  • 実践例
    • 夫の年収550万円、妻の年収380万円の場合
    • 負担割合 → 夫:妻 = 59:41
    • 月々の住宅ローン9.2万円の場合 → 夫5.4万円、妻3.8万円負担

3. 分担制(費目分担)

  • 特徴:支払う費目を分ける
  • メリット:管理がシンプル
  • デメリット:負担の不公平感が出ることも
  • 実践例
    • 夫:住宅ローン、車関連費、保険
    • 妻:食費、光熱費、日用品、子どもの習い事

住宅購入後の家計のモデルケース

けんた&妻のケース(世帯年収930万円、住宅ローン月9.2万円)

項目金額割合
手取り収入70万円/月100%
住宅ローン9.2万円13%
生活費(食費・光熱費等)20万円29%
固定費(保険・通信費等)8万円11%
子ども費用(教育費含む)10万円14%
交際費・趣味8万円11%
老後資金積立6万円9%
住宅修繕積立2万円3%
予備費・貯金6.8万円10%

RF「住宅ローンを組んだ後も、老後資金や教育費の積立、そして住宅の修繕費用の積立も忘れずに行うことが大切です。住宅ローンだけで精一杯という状態は避けるべきです。」

家計管理の具体的なツールと方法

おすすめ家計簿アプリ

  1. マネーフォワード ME
    • 特徴:銀行口座・クレジットカード連携、自動仕分け
    • 利用料:基本無料(プレミアム機能は有料)
    • おすすめポイント:共有機能で夫婦で確認可能
  2. Zaim
    • 特徴:レシート読み取り機能、予算設定機能
    • 利用料:基本無料(プレミアム機能は有料)
    • おすすめポイント:家計簿初心者でも使いやすい
  3. MoneyTree
    • 特徴:資産管理に強い、投資状況の可視化
    • 利用料:基本無料(プレミアム機能は有料)
    • おすすめポイント:投資と住宅ローンを含めた資産管理が可能

家計管理のコツ

  1. 「見える化」する
    • 毎月の収支を夫婦で確認する時間を設ける
    • 年に1回、家計の棚卸しをする(保険の見直しなど)
  2. 「3つの財布」で管理する
    • 共同の財布:住宅ローン、公共料金など
    • 個人の財布:お小遣い、個人的な趣味
    • 将来の財布:教育費、老後資金、修繕費の積立
  3. 「見直し」を定期的に行う
    • 半年に一度、固定費を見直す
    • ボーナス時に臨時収入の使い道を夫婦で相談

さやか「私たちは収入割合型で管理しようと思ってたけど、3つの財布って考え方も参考になるわ。アプリも活用して見える化していきたいな。」


RFからのアドバイス!

住宅ローン選びは「働き方」と「控除メリット」で判断!

最適なローン形態を決める際のポイント:

  • 節税重視ならペアローン
    • 両者とも所得税を十分に納めている場合
    • 計算例:夫婦合計で年間所得税額が40万円以上ある場合
    • メリット:最大で控除額が倍になる可能性(年間約40万円×2人)
  • 借入額重視なら収入合算
    • 希望物件が単独での借入可能額を超える場合
    • 計算例:4,500万円の物件で、単独だと3,500万円しか借りられない場合
    • 注意点:返済負担が大きくなりすぎないように
  • シンプルさ重視なら単独ローン
    • 将来的にライフスタイルが変わる可能性がある場合
    • 例:子育てで一方が仕事を調整する可能性がある
    • メリット:手続きがシンプル、管理が楽

住宅購入から入居までのタイムライン

時期やるべきこと具体的なアクション
1年前情報収集・資金計画・希望エリアリサーチ・物件相場調査
・貯金目標設定
・住宅ローン事前審査
6ヶ月前本格的な物件探し・不動産会社訪問
・モデルハウス見学
・複数物件比較
・資金計画の具体化
3ヶ月前物件決定・契約・重要事項説明
・住宅ローン本審査
・手付金支払い
・契約内容確認
**1ヶ月

次に読むべきステップ記事リンク

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iDeCoとは?節税しながら老後資金を作る方法

株式投資とは?利益の出し方・リスク・始め方を初心者向けにわかりやすく解説!(2025年最新版)

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